歴史と美術の共演『醍醐寺 国宝展』に行ってきました

美術展

大阪・梅田の中之島美術館で開催されている「醍醐寺 国宝展」に行ってきました。

中には大きな仏像や貴重な重要文化財に指定されている巻物や曼荼羅図など、お寺に関するさまざまなものが展示されていて、正直なところ密教については全然わかりませんが、仏像を見に行くという目的では、非常に貴重なものがたくさんありました。

お寺などで仏像を見るときには、正面や少し斜めから、かなり離れた場所からしか見られませんが、このような美術展で展示されていると、ガラス張りのケースの中に入っているため、後ろ側や横側から、細工や細部を近い距離でじっくり鑑賞できるのが本当に素晴らしいと思いました。実際のお寺では、建物や柱の位置や台座の高さに至るまで計算された空間、周りの装飾品を含めて完成された場所に、仏様が鎮座されています。それを鑑賞するのも素晴らしいことだと思いますが、重要文化財や貴重な美術品として間近で見られたのはとても貴重な体験でした。

仏像も、平安時代や安土桃山時代に作られた古いもので、高さも周囲も1メートル以上ありそうな木製のものを、傷つけずに運搬する技術もすごいと思いました。京都から大阪間とは言え、大規模な運搬作業だったのだろうな、とそんなことにも思いを馳せて鑑賞しました。

また、醍醐寺と豊臣秀吉の繋がりを示す展示物の数々も必見です。小学校の歴史の授業で学んだ、豊臣家の花見の舞台が醍醐寺だった理由など、授業で学ぶのとはまた違った歴史を知ることができて面白かったです。この時代のお寺は、政治や権力と切っても切れない関係なのですね。

反省点としては、仏像の展示の前で一度手を合わせてから鑑賞されているお客さんがいて、「そうだ、仏様だった。配慮が足らなかった」と思ったことです。つい「美術品」と思ってしまい、お寺に参拝した時とは違い“信仰の対象”という認識がなくなっていたな、と仏様には大変失礼してしまったなと思いました。

この美術展に行かれる方には、ぜひオーディオガイドを借りていただきたいです。オーディオガイドの解説で、展示品の詳しい背景や作者についてなども学ぶことができ、展示会を何倍も楽しめて非常に面白いです。今回の「醍醐寺 国宝展」のオーディオガイドの一人は、なんと麒麟の川島明さんでした。とてもいい声で話してくれます。最初の一章ぐらいまでは、オーディオガイドというより、川島さんが横にいて解説しながら一緒に回っているような感覚になります。次第に慣れますが、密教の成り立ちや時代ごとのお寺の役割、時の権力者との関係など、少し難しい部分もあるので、より楽しみたい方はぜひオーディオガイドを借りてください。

また、この展覧会の目玉として、醍醐寺の桜とコラボレーションした初音ミクのARもありましたが、私のスマホの設定が悪かったのか体験できませんでした。私はiPhoneを使っているのですが、うまくできなくて。設定の仕方を説明するQRコードがあったので、読み込んでその通りにやっても全然できませんでした…。なので10分位で諦めました。これが目的ではなかったので大丈夫でしたが、私以外にもARに挑戦したけど、うまく見れないみたいで困っている人たちが結構いました。このAR体験エリアには係員が誰もいなくて、困っても聞けない状態でした。機会損失というか非常にもったいない状態だったな、と。「初音ミクと醍醐の桜AR」は、大々的にアピールしているウリの1つでもあるので、そこら辺のフォローもしっかりしてほしかったです。

醍醐寺に収められている貴重な仏像や仏具、掛け軸などが観られる展覧会でした。醍醐寺が仏教の研究機関でもある、という新しい知識を学べたのも良かったです。

興味のある方は、ぜひ行ってみてください。

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